研究概要 |
(1)文化的な想像物に対する幼児の認識-サンタクロースは本物か偽物か?-(日本心理学会第60回大会にて発表):現実経験と想像世界との分化における認知的枠組みの発達的変化を検討するため,4,5,6歳児の日常的な想像物(サンタロース,おばけなど)に対する認識を,それらの演出物を実際に見せ,それらについて本物か偽者か,また,偽者の場合,どこかに本物がいるかどうかをインタビューで尋ねることによって検討した。その結果,4歳児は自分が知覚した演出物を本物と認識するが、6歳児になると,知覚した演出物は偽者で本物はどこかにいると認識するようになることが明らかになった。 (2)子どもの素朴概念を修正する情報源に関する研究-大学生の回想データによる基礎的検討-(日本教育心理学会第38回総会にて発表):想像世界などに関する子どもの頃の考え方や知識の元となっている情報源と,それらが修正されるきっかけとなった情報源について,大学生の子ども時代における素朴概念の回想を分析することによって検討した。その結果,想像世界に関する素朴概念の原因となった情報源については,言語や社会に関する素朴概念に比べると,他者からの情報が多い傾向にあった。また,修正のきっかけとなった情報源については,想像世界は,自分からの情報が多く,他者と学校教育からの情報が少ないという傾向が見られた。 (3)幼児期におけるソースモニタリング能力に関する研究(未発表):4,5,6歳児と成人を対象にし,ある情報の内容に関する記憶と,その情報の発し手に関する記憶について,実際の目撃者証言場面に近づけた状況での実験的検討を行った。その結果,情報の内容に関する記憶では,年齢における差はほとんどみられなかったが,情報の発し手に関する記憶については,幼児と成人の間,また,4歳児と6歳児の間に差が見られることが明らかになった。
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