情報化社会では、受け手に情報を「分かりやすく」伝達するにはどうすればよいかという問題が重視される。同時に、このような社会では、映像情報の重要性が高いため、映像情報をいかに「分かりやすく」伝えるかを考察することが急務である。これまでの研究から、理解を支援する画面構成については、受け手の認知過程に適合するような画面構成が重要であると考えられてきた。すなわち、物語を題材とした場合、主人公の目標構造を構造化するように画面を構成することが、受け手の理解を支援することが示されている。主人公の行為が物語の最終的な問題解決にどのように結びついているかは行為の重要度と呼ばれ、階層化されているが、階層の高い行為は基本動作であり、基本動作を踏まえた画面構成が物語の理解を支援すると考えられている。そこで、本研究では、基本動作を踏まえた画面構成が物語理解の構成過程に及ぼす効果について実験研究を行った。 実験では、幼稚園を被験者にし、3群を構成した。課題として簡単な出来事について数枚からなる絵画物語を作った。それらは内容が同じであっても、基本動作として重要度の高い動作が描かれた基本動作条件と基本動作として重要度の低い動作が描かれた非基本動作条件、ならびに規範的な動作が描かれた規範動作条件の三つであった。理解テストとして、絵画をランダムな順序で提示し、それらが正順になるように配列させた。各条件が理解の構成過程にどのような効果を及ぼしているかを分析するために、絵画配列行動を下位行動を分析し、また、構成結果がどれくらい正順と相関しているかについても分析を行った。以上の結果から、重要度の高い基本動作に対応させて画面を構成することが理解を支援することが示された。
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