研究課題/領域番号 |
08710130
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉田 純 京都大学, 文学研究科, 助手 (40240816)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | インターネット / コミュニケーション / 公共圏 / ハ-バーマス |
研究概要 |
本研究の目的は、インターネットのコミュニケーション構造を社会学的にとらえるための理論的モデルを構築し、本格的な経験的研究への準備を万全なものとすることであった。そこでまずハ-バーマスの公共圏概念を手がかりとして、インターネットがもつ可能性と問題点とを考察した。すなわち、インターネットは自律的公共圏(市民の自律的コミュニケーションによる公的意思の形成の場)の形成に寄与しうるのかという問いを設定し、ハ-バーマスの公共圏概念をインターネット研究に適用する際の理論的意義と問題点とを明らかにすることによって、この問いにアプローチした。その結果明らかにかったのは、下記のような点である。 公共圏概念はそれ自体のうちに、規範的概念と実体的概念とのアンビヴァレンスを含んでいる。したがって、単にコミュニケーションのインフラストラクチャーとしてインターネットが利用できさえすれば、そこに自律的な公共圏が現出すると考えるのは楽観的に過ぎる。すなわち、インターネット外部の社会的要因(政治システムや経済システム)がインターネットに対していかに作用するかを考慮に入れる必要があるのである。 コンピュータ・ネットワークと、そこでおこなわれるコミュニケーションとの関係をめぐる議論において暗黙の前提となってきたのは、ネットワーク上に形成される<仮想社会>と、その外部の<現実社会>との二項対立であったと考えられる。しかしながら、こうした二項対立は、次第にその意味を失いつつある。というのも、インターネットの発達によって、<仮想社会>と<現実社会>が必ずしも相互に無関係に遊離するとは限らず、むしろ相互浸透するケースが増加するということが予測されるからである(すでにそうした事例もいくつか存在する)。 以上の研究成果は、日本社会情報学会第一回大会で報告し、また同学会の機関誌に、現在投稿中である。
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