ポ-タブル・ビデオカメラを活用し、学習者にカメラを意識させないようにこころがけ、とりあえず二元的レベルで技能動作を収録した。各個人の技能精度(いわゆるできばえ)および経過時間を測定するとともに各個人の技能動作の諸特徴、全体的な傾向を動作解析機器を駆使し、分析し、後日、同学習者を対象に自らの動作を見せながら指導することによって、動作フィードバックの過程をつくる。その結果、技能動作の変化、不変化の諸点の分析と技能精度(いわゆるできばえ)および経過時間との関連を考察した。 小学生であれば、3年生、5年生あたりで技能獲得の可能性と技能発揮のレベルに特徴がみられることが指摘されている。しかしながら、工作機械を使っている自分の動作をフィードバックしつつ、学習を積み重ねていく際の機械操作技能獲得の変化に着目した研究は管見の限りではみられない。具体的には、木工旋盤と電動糸鋸盤を対象とした。 技能動作機器として、ストツプ・モーション機能に比較的優れたビデオデッキ(編集機能をもつもの)で、動作画像を写真状態で取り出すためのビデオ・プリンタを併用した。 成果として、小学校低学年においても木材加工に関する工作機械への恐怖感はほとんどなく、木工機械のなかでは比較的低回転数の木工旋盤と上下運動による切削である電動糸鋸盤作業には積極的に取り組めることがわかった。また、小学校4年生あたりから自らの機械操作動作をビデオモニターによってフィードバックすることによって確実に技能水準が向上することが認められた。いわゆる口頭による技能教授と視聴覚機器を駆使した技能教授との役割分担の一端を明らかにできたといえる。道具使用のみならず機械操作技能においても動作を伴うため、動的分析の有効性を一定程度明らかにし得た。
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