研究概要 |
日本の幼稚園教育はこれまでその量的充実期を経て,質的にも充実してきているが,これまでは基本的に全国的に同一水準,内容で展開されてきているが,幼稚園教育が子どもの生活のなかで子どもにとって真に有意味なものとして位置づけられるためには,それぞれの子どもの生活する地域のもつ全体的特性と結びついた教育内容が準備されるべきであり,そうした広い意味での環境と関連づけられたカリキュラムが準備される必要があるという考えから,本研究は(1)気候的に一年のほぼ半分が冬であり,雪の多い北海道道北地域における保育内容の変化と現状についての調査を行い,保育内容の特徴を明らかにすること,(2)これらの保育内容と他の地域の幼稚園の保育内容,方法の比較検討を行い,それを規定する諸条件を明らかにすることの2点を目的としておこなわれた。 研究の結果,以下のことが明らかになった。 (1)この地域では子どもの気質的特徴として規則性項目で不規則な傾向がある。その要因として就寝時刻が遅いことが確かめられた。 (2)冬季間を除いて保育内容一般については地域的特徴は認められないものの,散歩などの戸外での活動が積極的に取り入れられる傾向がある。また,夏季の水遊びなどの主に水を必要とする活動,冬季の雪遊びなどの頻度に地域差が認められた。 (3)一部ではあるが地域の文化・特色を取り入れた独自の保育内容が検討されている。 今後の課題として,それぞれの活動内容の詳細で具体的な検討が必要であり,また生活と密着した地域の文化的特性に目を向ける必要があると考える。
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