1近代日本における「無意識」イメージをめぐる研究として、以下の点を進めた。 (1)近代日本における「無意識」受容のコンテクストに関するデータ群を、[a]疑似科学レヴェル、[b]「科学」アカデミズムレヴェルに分類し、さらに[a]を(1)催眠術周辺(幻術等を含む)、(2)心霊学周辺、また[b]を(3)精神医学周辺、(4)心理学周辺と下位分類して、個々にデータベースの作成を進めた。 (2)文学テクストのレヴェルでは、幸田露伴「術比べ」(明治38・1、「新小説」)、夏目漱石「趣味の遺伝」(明治39・1「帝国文学」)、森鴎外「魔睡」(明治42・6、「スバル」)などのテクストに注目し、主に催眠術関連のコンテクストから分析を試みた。 2以上の研究を基盤にして、近代日本の催眠術受容に関する著書をまとめている。(1)[a](1)に関する研究成果である。 3今後は、かつて(1)[a](2)に関して大枠をまとめた前著(『〈こっくりさん〉と〈千里眼〉』、平成6・8、講談社選書メチエ)の成果、および今回の(1)[a](2)に関する新たな調査結果、さらに(1)[b](3)〜(4)の調査結果をふまえ、近代日本におけるアカデミズムレヴェルでの「内面」への意味付けのプロセスを、「無意識」をキ-・ワードとして、さらに調査を進める予定である。
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