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夏目漱石『文学論』中の「集合的F」に関する研究-ボールドウィンとの関連を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 08710294
研究種目

奨励研究(A)

配分区分補助金
研究分野 国文学
研究機関大東文化大学

研究代表者

藤尾 健剛  大東文化大学, 文学部, 助教授 (70209021)

研究期間 (年度) 1996
研究課題ステータス 完了 (1996年度)
配分額 *注記
200千円 (直接経費: 200千円)
1996年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
キーワード「集合的F」または「集合意識」 / ボールドウィン著『精神発達の社会的倫理的解釈』 / 「模倣と独立」 / 「明治の精神」 / ギディングス著『社会学入門』 / ロンブロ-ゾ著『天才と狂気』 / ギュイヨ-著『教育と遺伝』 / トルストイ著『芸術とは何か』
研究概要

1.『文学論』の準備のために夏目漱石が作成した未公開のノートを調査し、その一部(「ギディングス・ノート」と「ボールドウィン・ノート」)を近く翻刻発表する。
2.ボールドウィン著『精神発達の社会的・倫理的解釈』が『文学論』第五編の「集合的F」の概念形成に深くかかわっていることを確認した。ただし、漱石のボールドウィン理解はむしろ晩年に深められている。大正2年12月の講演「模倣と独立」は、ボールドウィンへの関心の復活を示し、『心』(大3.4〜8)は、ボールドウィンの影響下に形成された新たな人間観を示している。『心』の「明治の精神」や「時勢」の語も、ボールドウィンの思想と深いかかわりがある。これらの成果も近く発表を予定している。
3.ギディングス著『社会学入門』、ギュイヨ-著『教育と遺伝』、ロンブロ-ゾ著『天才と狂気』などと『文学論』の関係も調査した。ギディングスの著書は、「集合的F」を、「模擬的F」・「能才的F」・「天才的F」の下位範時に分類することに示唆を与えていること、ギュイヨ-の著書は、「暗示」の教育学的意義を説いたものだが、『文学論』第五編の「暗示」についての記述や、「文芸の哲学的基礎」の「還元的感化」の概念に関わっているふしがあること、『文学論』の「天才的F」についての記述がロンブロ-ゾの著書の影響を示していることなどが明らかになった。
4.トルストイ著『芸術とは何か』が『文学論』の発想に決定的な影響を与えていること、『文学論』はトルストイの芸術論を心理学や社会学に基づいて科学的に把握しなおす試みという性格を持つことが明らかになった。トルストイの芸術論はギュイヨ-の芸術論とも結びついており、漱石が心理学や社会学の観点を導入したのはそのあたりから示唆を得ていたかもしれない。この点については目下考察中である。

報告書

(1件)
  • 1996 実績報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 藤尾健剛: "夏目漱石「ギディングス・ノート」翻刻" 日本文学研究(大東文化大学日本文学会). 36号. 15-32 (1997)

    • 関連する報告書
      1996 実績報告書
  • [文献書誌] 藤尾健剛: "夏目漱石「ボールドウィン・ノート」-翻刻と解説-" 文芸と批評(文芸と批評の会). 第8巻・5号(印刷中). (1997)

    • 関連する報告書
      1996 実績報告書
  • [文献書誌] 藤尾健剛: "集合意識のゆくえ-漱石とボールドウィン-" 漱石研究(翰林書房). 8号(印刷中). (1997)

    • 関連する報告書
      1996 実績報告書

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公開日: 1996-04-01   更新日: 2016-04-21  

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