研究課題/領域番号 |
08710300
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
国文学
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研究機関 | 長崎総合科学大学 |
研究代表者 |
横手 一彦 長崎総合科学大学, 工学部, 助教授 (60240199)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 戦後文学 / GHQ / SCAP / SCAP検閲 / 敗戦期文学 / 被占領下の文学 |
研究概要 |
日本近代文学における敗戦期のGHQ/SCAP検閲研究は先行研究から約10年間停滞していた。拙著『被占領下の文学に関する基礎的研究-論考編』(1996年1月武蔵野書房発行)や『同-試料編』(95年12月)によって、敗戦期文学が外国(GHQ/SCAP)の影響を受けた具体性を論究する基礎が構築され新たな角度から展開する可能性を定位できた。本課題研究は、私的呼称「被占領下の文学」の高次概念として「敗戦期文学」を位置付け、文学作品研究による個別性と『GHQ/SCAP正史』の読解を平行させる目論見で年間の作業をおこなった。このことで、戦後文学の定説を現代的視点から部分的に読み換える可能性を求めた。96年夏の短期渡米調査(本研究の間接的調査活動)で入手した資料などを加えた「敗戦期と敗戦期文学における地と〈地〉」(『叙説』第14号96年12月叙説舎)や、戦前・戦時中・敗戦期・戦後の連続性から再考を試みた「火野葦平『アメリカ探検記』考」(『同』第13号96年8月叙説舎)にその成果の一端を公表できたと考える。しかし、本来的な『GHQ/SCAP正史』の部分翻訳が未完成であり、またアジアの視点(中国・朝鮮半島)を取り込む新たな着想や作業を論考化する段階まで本研究期間中にはいたらなかった。その主要部分は、97年6月長崎大学で開催される日本近代文学会九州支部春期大会において研究発表する予定である。このような作業を複数年度にわたって継続することにより、これまで本研究は基礎的段階としての資料整理に意識的に偏頗するものであったが、この限界性を超えて文学作品の本文研究から現代の一義的源泉としての敗戦期文学の在りようを再度捉え直す範疇に移行したと考える。今後もこの観点からの関心を持続し、拙著に対する学会誌の書評記述にあるように個別研究を越えた〈史〉と〈批評〉の性格を具備した複数の小考の展開を考えている。
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