研究課題/領域番号 |
08720007
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
公法学
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
伊達 規子 群馬大学, 社会情報学部, 講師 (00261826)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 共働 / 行政 / 環境 / 参加 / NPO / 福祉 / 法治主義 / 自主規制 |
研究概要 |
本研究では、NPOの行政関与を伝統的な法治行政の原理という視点から検討した。近年、特に環境行政および福祉行政の分野では、NPOの行政関与が重視されるようになってきている。そして、例えば、ドイツでは、環境問題の解決のためには、あらゆる主体の協力が必要であるという、協働原則が環境法の基本原理の1つとされ、NPOの行政関与が推進されている。 そのため、ドイツにおいて、各種行政機関、NPO、企業および事業者団体等のヒアリング等を行った結果、(1)NPOの協働形式には、立法への関与(法案に関するヒアリング、審議会への参加等)と個別的な行政任務の遂行段階における関与(許認可手続きへの参加、団体訴訟等)があること、(2)この中には、さらに、法制度化された協働とインフォーマルな協働があること、(3)実務においてはインフォーマルな協働がより重視されているが、それが場合によっては、一部の利益の不当な尊重又は軽視を招きかねず、法治主義のゆらぎを生じせしめていることなどの知見が得られた。 また、NPOと事業者の関係については、(1)特定の環境問題が政治的課題となった際、事業者が自主規制を行うならば、国は新たな法規制を行わないという傾向が強まっていること、(2)このことが立法とその執行を前提とした協働制度を形骸化し、環境NGOの影響力を弱めるおそれがあること、(3)個別の許認可手続においては、申請者である事業者が、行政と事前交渉を行うことが多く、正式の手続におけるNPOの参加が、企業からも、行政からも、専ら手続の阻害要因とみなされる可能性があること、などが明らかになった。 そこで、今後は、企業の環境保全活動について、協働による伝統的な法治主義の変容という視点から法的評価を行いたいと考えている。
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