行政法と財政法という数年来の関心のもとで、行政法の一般理論とのかかわりから会計法の沿革を探るという方法をとることになった。具体的な成果は以下のとおりである。 (1)日本の会計法がフランス法から継受されたことを指摘したうえで、とくに会計法30条の時効や後払い原則の意義について、沿革に照らして検討を深めることができた。また、会計法を含めた財政法規範の体系的な位置づけについて若干の示唆を行うことができた。。 (2)日本の住民訴訟とそれに対応するフランスの訴訟制度を、歴史変遷をたどりながら概観することによって、両国の訴訟制度の発展に会計制度が関係していることを指摘した。 (3)第二次納税義務の納付告知の性質は、会計法の納入の告知の性質に照らして理解されるべきであることを明らかにした。収入会計制度の歴史的沿革についての論文を先行させる予定であったが、諸般の事情から判例評釈の形で自説の一端を述べた。
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