研究課題/領域番号 |
08720043
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会法学
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研究機関 | 神戸商科大学 |
研究代表者 |
川瀬 剛志 神戸商科大学, 商経学部・国際商学科, 講師 (60275302)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | WTO / GATT / 「貿易と環境」 / 地球環境保護 / バ-ゼル条約 / ワシントン条約 / モントリオール議定書 / 輸出入制限 |
研究概要 |
昨今、地球レベルでの環境保護政策を策定する多国間環境条約(MEA)が締結されるが、これらの一部が政策手段として多用する通商制限が、GATT/WTOに代表される国際的な自由貿易規範と法的緊張関係にある。 モントリオール議定書(オゾン層保護)に代表されるMEAにおける通商制限は、条約加盟国拡大を意図して非加盟国にのみ差別的に適用されたり、製品としてはでなくその製造工程が有害な物質を規制するなど、間接的に環境上の政策目標を達成するために用いられる。この点は、それ以前の環境保護目的の通商制限が、専ら環境価値財/有害物質の国際移動の規制により直接的に政策目標に達成したのとは大きく異なる。また、従来の通商制限は専ら制限実施国領域内の環境保護のために適用されるが、グローバルな存在を保護対象とするMEAにおいては、通商制限による保護対象は必ずしも領域内にあるとは限らない。 一方、無差別かつ自由な貿易の実現を標榜するGATT/WTOは、一律に通商制限を禁じている。また、最恵国待遇、内国民待遇の供与に際して、最終製品として同種であるものの平等な取り扱いを既定している。とすれば、上記MEAの通商規定はGATT/WTOに抵触することは否めない。もっともGATT20条は、人体・動植物の保護に必要かあるいは有限天然資源の保存に関する通商制限を、例外として認めている。しかるにこれまでの紛争事案において同条項は非常に狭く解釈されており、MEA上の通常措置の包括的な例外化に資するものではない。96年の米ガソリン精製基準に関するWTO上級委員会報告は、若干環境に配慮した柔軟な20条の解釈を提示した点で注目されるが、MEAとGATT/WTOの矛盾を解消するには至っていない。 現行法の解釈による解決に限界が見られる現在、NAFTAにおける前例などを参照しつつ、立法的解決によって「持続可能な社会」における通商法の在り方を模索することが望まれる。
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