研究課題/領域番号 |
08720054
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
磯崎 典世 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (30272470)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 韓国 / 権威主義体制 / 経済開発 / 軍 / 企業 / 経済官僚 / 国防 |
研究概要 |
本研究は、韓国の権威主義体制下の経済開発の進展によって、大統領・軍・官僚・企業グループの関係がいかに変化するかを実証的に解明することを目的として行われた。70年代の「重化学工業化」の推進とその破綻・80年代初めの構造調整と開発戦略の転換という過程での軍人の役割の変化を他のアクターとの関係で捉えることに焦点をあて、軍人の行政府への進出と開発政策への関与、軍人の経済活動への進出などを実証的に解明した。方法として、社会の中で重要な位置を占めた軍出身エリート208名の経歴を調査してデータベースを作成する一方、誰が開発政策を立案し推進したのか、それと軍の関わりはどうであったかを後づけていった。研究の結果、(1)70年代の維新体制においては「自主国防と開発」を一体化し「総合的な安保体制」の構築が目指され、「制度としての軍」は大統領の統制下に置かれたが、個々の軍人は退役して体制の重要な位置に付くなど、開発の一翼を担うと同時に特権を獲得したこと、(2)開発戦略の破綻を一因として維新体制は崩壊し、「新軍部」が権威主義体制を再構築したが、経済合理性によって再建を図ろうとすると軍の既得権を侵害することとなり、開発をめぐって官僚・軍・企業の軋轢は高まり、軍の体制からの離脱を引き起こす要因となる、ことが明らかになった。これは、作成したデータベースによって、軍人の国公営企業・民間企業への天下りのパターンの変化が見られることからも実証された。今年度はこのデータベース作成に時間がかかり業績をまとめる時間は不足したが、このデータは、今後の研究で個々の軍人と大統領の関係と体制支配層の構造を解明する研究を行う際にも基礎的な資料として活用できる。また、さらに研究を発展させ、支配層内部の変化をその他の社会勢力との関連の中で捉え、「開発と体制変動」という問題をより総合的に考察することを試みたい。
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