研究概要 |
今年度は,主に、南北朝鮮国内において発行されている南北朝鮮関係及び両国国内の政治・経済・社会に関する資料を収集・整理し、さらに、日米韓による南北朝鮮研究を参考にしながら、主として現在における南北朝鮮の政治社会の変動及び南北朝鮮関係についての研究を進展させた。第一に、韓国に関しては、一方で、現在における韓国の政治的民主化と経済的自由化および経済的民主化の3者の関係に対する分析を行うことによって、現在の政治社会の変動を理論的に素描した(日本政治学会で報告)。他方で、現在の政治変動を解放後の長期的なパースペクティブの中で位置づける作業を行い、これについても、歴史学研究会および国際高麗学会で報告を行った。以上のように、韓国研究に関しては、比較的に当初の予定通り順調な成果を上げることができた。しかしながら、第二に、北朝鮮の現状分析に関しては、地道に「労働新聞」や「民主朝鮮」などの分析を行うことにより、北朝鮮の政治社会に対する内在的理解を試みてきたが、現在のところ、未だ目に見える成果を上げるには至っていない。そうした政府や党の言説に対する分析から現状を理解しようとする作業の限界に直面した格好になっている。但し、他方で、李鐘〓や徐東晩を代表とする韓国で活躍している若手の北朝鮮研究者との交流をより一層深めることにより、北朝鮮研究を行う上での忍耐の必要性を学んだことは貴重な経験であった。今後も激動が予想される北朝鮮研究を手堅く継続していこうと考えている。第三に、歴史認識の問題などで摩擦の多かった日韓関係に関して、日韓の研究者との共同研究を組織して、その暫定的な結果を韓国において出版することができた。今後は、この作業をさらに発展させて、日本における出版を計画している。
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