研究課題/領域番号 |
08730004
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
経済理論
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
西村 直子 信州大学, 経済学部, 助教授 (30218200)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | Contest / 危険回避度 / 企業家 / 非協力ゲーム |
研究概要 |
R&D競争を典型とするような、生産目的とは別に競争に勝つための投資を伴うContestの結果は、どの程度Contestに勝つ確率を伸ばせるかに依存する。Contestに敗れた際の所得は一定であるという仮定の下では、Contestに資源を投下する行為はContestというギャンブルに対する部分的保険料を支払う行為に匹敵することから、より危険回避的な企業家がより攻撃的に資源投下することとなる。これを踏まえて本研究においては、Contest以外の安全な選択肢があるとき、危険回避度の異なる企業家の間で、どのタイプの企業家がContestに参加する傾向にあるかを、2人2段階ゲームの枠組みで分析した。その結果、(1)均衡の存在条件を明らかにした。(2)潜在的な危険回避度の分布が連続であるとき、一方のみがContestに参加する場合が存在する。(3)危険回避的でない方が支配戦略として不参加のとき、必ずより回避的である方も不参加である。(4)逆に、より回避的な方が不参加を決めても、それが回避的でない方の参加を必ずしも意味しない。(5)有利にContestを展開するのを見込んで、より回避的な方のみが参加を決める場合が存在し、それは複数均衡解の一つとしてのみ出現し、そのときの両者の回避度の差は大きくない。以上、Contest不参加の意思決定には危険回避度の少ない方の影響力が強いが、競争に参加してからはより回避的な企業家の方が勝つ確率が高いことから、Contest参加についての意思決定はより複雑である。危険回避度が連続に分布する場合の枠組みにおいては、上記の場合分けに対応する回避度の境界区域が設定できる。またシュミレーションにより、そのような結果をもたらすContest参加者の具体的な効用関数も特定できた。今後は参加者が非連続な3人以上の場合、Contestが数期にわたる動学的分析枠組みへの応用、Contestを脅威として所得分配を交渉する場合等への拡張、及び実験による検証を計画している。
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