研究概要 |
有価証券報告書を用いて全上場企業の経営者および役員を、1)オーナー,2)従業員出身,3)親会社出身,4)金融機関出身,5)政府出身,6)その他,に分類し、財務データと結合することによって、企業の支配構造が企業行動に与える影響について実証分析を行った結果、次の結論を得た. 1.利益の分配に関して、オーナー・マネージャー企業では株主に対する利益分配が相対的に大きくなっているのに対して、経営者が従業員や親会社出身の企業では従業員に対する利益分配が相対的に大きくなっている. 2.オーナー・マネージャー企業よりも所有と経営の分離した企業の方が労働生産性は高くなっているが、企業成長率はオーナー・マネージャー企業の方が高くなっている. 3.メインバンクと安定的な関係を結んでいる企業の方が、そうでない企業にくらべて、経営不振時により安い費用で資金調達をすることが可能になっている. 4.オーナー・マネージャー企業において、役員報酬は株式収益率や付加価値といった企業活動の成果によって誘因付けられているが、経営者が従業員出身である企業においては、そのような関係はみられない.
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