研究課題/領域番号 |
08730056
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
財政学・金融論
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
竹田 陽介 上智大学, 経済学部, 講師 (20266068)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 内生的貨幣供給 / 政策割当 / 季節変動 / 日本経済 |
研究概要 |
中央銀行が貨幣需要の動きに合わせて受動的に貨幣供給を行い、短期金融市場利子率を平準化する行動を内生的貨幣供給と呼ぶ。本研究では、日本銀行が内生的に貨幣供給をしていたと考えられる期間を、短期金利の推移および政策資料に基づき同定し、その政策上の意図を計量的に推計することを目的にしていたる。 一般に経済政策の目的として、物価の安定、経済成長、国債管理、個々の産業の成長、国際収支の均衡と為替レートの国際協調が挙げられる。政策割当論からは、こうした複数の政策目標が存在し、政策手段の数が目標の数より少ない場合には、すべての政策目標を同時に達成することは不可能であり、またもし政策手段が目標数以上ある場合には、各政策目標に対して最も直接的な影響を及ぼす政策手段を割り当てることが、経済政策にとって最適になる。 推計の結果、日銀が利子率の平準化を図る内生的貨幣供給の目標としてきたのは、主に一次産品価格に反映される総供給ショック、失業率、及び産業政策における重点産業の成長率である。逆に積極的に利子率を誘導する政策的な意図をもつ外生的貨幣供給の目標は、卸売物価の安定性、長短金利差に表われる国際管理政策,生産性格差インフレ及び円ドル・レートに関する国際協調であった。株価に代表される資産価格の動きは、考慮されていなかった。 大まかに言えば、短期金利が直接的な影響を及ぼすと考えられる国債管理政策や為替の国際協調に対しては、利子率が政策手段として使われていたことがわかる。また通貨価格の安定を理念とする中央銀行として、卸売物価の安定性やかつての生産性格差インフレに対しても、利子率が直接的な政策手段になっていた。こうして日本の金融政策を政策割当の観点から見ると、内生的貨幣供給は政策割当論に十分適うものであったと言える。 以上から、日本の金融政策は、物価の安定を基本的な目標としながら、サプライ・サイドの変動要因、及び産業政策との政策ミックスを考慮して、内生的貨幣供給の姿勢を探って来た点に特徴が見出される。
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