研究課題/領域番号 |
08730062
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
商学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
小林 哲 大阪市立大学, 商学部, 助教授 (60225521)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | マーケティング / ブランド / 競争戦略 / 日本的経営 |
研究概要 |
本研究は、日本のマーケティング戦略の固有性を、とくに内外の研究者が日本のブランド戦略の特徴にあげている「企業ブランド」に焦点をあてて明らかにすることを目的に実施された。現在、企業名が個別製品のマーケティング戦略で大きな位置を占める日本企業を観察すると、a)花王石鹸など、当初から企業名と製品名を合わせてブランドとしたもの、b)ソニーなど、本来ブランド名だったものが企業名になったもの、c)資生堂など、当初から個別ブランド名と企業名を併用しているものの、大きく3つのタイプに分類することができる。このことは、日本の企業ブランドの成り立ちが多様であり、ダイナミズムを有することを意味する。また、企業ブランドを採用する利点として、a)製品の追加、変更が容易であること、b)提供者と顧客との関係が形成可能なことがあげられる。 本研究は、上述した利点を有する企業名を重視するブランド戦略の優位性を日本の文化的側面ではなく、競争構造の中に求めている。というのは、このようなアプローチを採用することで、日本における企業間のブランド戦略の相違やブランド戦略の変遷を説明することが可能になると思ったからである。分析の結果、企業名を重視している企業は、a)同質的かつ集中的な競争を展開している市場、b)市場が流動的であり広範囲にわたり頻繁かつ多数の新製品導入が必要とされる市場、c)顧客が製品を選択する際、製品そのものよりも誰がその製品の提供者かが重視される市場、で競争していることが示された。このことは、逆に、日本企業であってもこのような競争構造を持たない市場で展開している場合や競争構造が変化するばらば、その戦略的優位性を失うことを意味している。以上の考察は、ブランド戦略の国際比較およびブランド戦略のダイナミズムを説明する新たな分析視点を提示するものである。
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