研究概要 |
今回の研究では,まずセグメント管理会計の諸側面(事業、組織、計算・報告など)にそって会計情報モデルについて検討した。一般に管理会計の分野では、経営内部の情報を中心に考慮しているため、これらの側面のうち事業を中心として、会計情報モデルを構築している。しかしながら事業を中心とする会計情報モデルは、セグメントの具体化を求めるため、適用範囲が限定される可能性がある。これに対して、計算・報告を中心とする会計情報モデルは適用範囲が広く、経営環境である市場を中心としたモデルの構築が可能である。 以上の結果から、将来的なセグメント管理会計の方向性として、計算・報告の側面を重視した会計情報モデルを構築していくことが求められる。そして、市場に関する情報を広く収集し、経営情報として内部に取り込んでいく会計情報モデルが必要となる。例えば、デュポン社のベンチャーワ-ス法などに見られる財務情報(会計情報を含む)モデルは、会計情報モデルとして先進的である。 また、これらのモデルを具体化するために、フィールドワークによる実証研究を行い、地理情報システムなどを用いて結果の検討を実施した。その結果として、こうしたシステムを用いた市場モデルを構築することによって、セグメント管理会計における会計情報モデルを具体化することが可能であることが分かった。将来的には市場モデルの検討を更に深めることによって、経営管理者にとって有用な会計情報を求めることが可能になると思われる。この市場モデルについては今後構築していきたい。
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