研究課題/領域番号 |
08740014
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
代数学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
秋山 茂樹 新潟大学, 理学部, 助教授 (60212445)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ヤコビ和 / 楕円数列 / 楕円対数関数 / リーマンゼータ関数 / 楕円曲線 |
研究概要 |
今年度の研究は主に2つの事をあつかった。まず第一の点についてのべる。 強可除性を持つ数列の最小公倍数の漸近挙動を調べる問題は素数定理をはじめとして素数分布を調べる事と関係して常に重要視されてきた整数論の歴史的問題である。この強可除性という概念の重要性はM.Wordのいくつかの重要な仕事を除いてなぜかあまり注目されていなかったが、筆者の近年の研究によって少しずつ明らかになってきた。これを自然に一般化する事で楕円曲線に対応するelliptic sequenceの概念に至る。すなわち強可除性をもつ整数列を楕円関数論から自然に生ずる数列として実現できる。さらにそれらの数列の挙動を詳しく調べる事でζ(3)と結びつく漸近式を得られた。 その手法のなかでもっとも困難な部分はelliptic sequenceの絶対値の平均的漸近挙動であり、これを調べるため研究してきた技法が超越数論で近年Hirata-kohno,S.David等によって調べられているelliptic logarithmの挙動と結びつく事が最近になって分かった。従来elliptic logarithmの問題に接近する一般的な方法であるBakerの代数的数のlogの和の評価の手法とは全く異なり今回の方法はペ-関数の値の代数性を仮定せずに平均的漸近挙動を考える新たな方法論を与えており、この有効性を検証した。 もう一つの研究はJacobi和のpurityの問題である。これは代数的組み合わせ論の問題意識から生じた問題であるが純粋に整数論の問題である。Jacobi和の絶対値はconductorの平方根となるが、conductorの平方根と1の巾根の積に書けるときにpureであるという。ここでは素体上2次の有限体のJacobi和のpurityの必要十分条件を一つの指標が2次の場合にきわめて具体的な形で決定した。証明は本質的にはStickelbergerの定理によるがさらに複雑な初等的議論を必要とする。これに類する具体的結果は今まで見つかっておらず興味深い。
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