i)等質空間の数論 数体上に定義された等質空間におけるHasseの原理及び近似定理を、M.BorovoiによるAbelian Galois cohomologyとY.ManinによるBrauer-Grothendieck群の方法を用いて調べた。結果は、強近似定理が成立するための条件が、等質空間のホモトピー群ないしBrauer群を用いて記述できるということである。これについて、11月大阪大(整数論セミナー)、神戸大(保型関数論セミナー)で、12月京都大数理研(代数的整数論シンポジウム)で発表。さらに等質空間上の有理点の分布についての結果を加えて論文(共著)準備中。 ii)種数2のタイヒミューラーモジュラー群(写像類群)の群論的、数論的構造の研究. 種数2のタイヒミューラーモジュラー群の構造をJonesによるHecke環表現を用いて調べた。結果は、トレリ群を含まない正規部分群の系列で、商が有限ユニタリー群となるものを得た。幾何的には、種数2の代数曲線のモジュライ空間のガロア被覆の系列でガロア群が有限ユニタリー群となるものを構正したことになる。この成果を、8月、Canadian Number Theory Associationで、10月、北海道大(リーマン面に関連する位相幾何シンポジウム)で発表。論文:On a family of subgroups of the Teichmuller modular groups of genus two obtained from the Jones representationが掲載予定。
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