研究概要 |
計画調書に記したリーマンゼータ関数の超幾何型母関数G_v(α,β;γ;z)及びG_v(α;γ;z)については、その研究にMellin-Barnes型積分表示が効力を発揮することが明らかになってきた。実際、この表示を通してG_v(α,β;γ;z)及びG_v(α;γ;z)が超幾何関数の自然な一般化であるMeijerのG関数と深く関係することが示され、更にこの関係から変数zがある角領域の中をz→∞となるときのG_v(α,β;γ;z)及びG_v(α;γ;z)の漸近展開が証明された。これらの詳細については、欧文論文"Hypergeometric type generating functions of the Riemann zeta-function"(単著)を準備中である。 以下、上の研究の副産物として得られた2つの成果について述べる。xを複素変数、非負整数nに対し(^x_n)を一般2項係数、(x)_nをPochhammer記号とする。λを固定された実数とするとき、2項係数級数Σ_<n>λ+1>(-1)^n(^x_n)ζ(n-λ)及び階乗級数Σ_<n>λ+1>(-1)^nn!ζ(n-λ)/(x)_n (nはn>λ+1なる非負整数を動く)はいずれもRex>1で収束してxの解析関数を定義するが、これらの関数について、x→+∞のときの漸近公式が十分満足出来る形に導かれた。詳細は、論文"Mellin-Barnes'type integrals and certain sums including the Riemann zeta-function"(単著)としてまとめられ、欧文学術雑誌に現在投稿中である。次に、φ(λ,x,s)でディリクレ級数Σ^∞_<n=0>^<2πinλ>(n+x)^<-s>を全s平面に解析接続して得られるLerch ゼータ関数を表わすとき、上記Mellin-Barnes型積分の応用によりφ(λ,x+1,s)の|x|<1におけるベキ級数展開及び|arg x|<πにおける漸近展開を簡明かつ統一的に導出することに成功した。特に後者の漸近展開は幅広い応用を持つことも示されており、詳細については論文"Power series and asymptotic series associated with the Lerch zeta-function"(単著)を欧文学術雑誌に投稿準備中である。
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