位相的場の理論に付随して現れる位相不変量が、近年活発に研究されている。こうした一連の不変量の背後には、超対称な場の理論や超弦理論といったものがあると考えられているが、最近、物理では相対性というideaが出され、こうした理論に対する理解が飛躍的に進みつつあるように思える。こうした発展は、数学的にも深い現象を示唆していると思われる。物理の方で、そうしたことが議論できる鍵は超対称性にあると思われるが、数学者の間では、超対称性はいまだきちんと理解されたとは言えない。しかし、上に述べたような現象を数学としてもきちんと捉えようとすれば、超対称性を数学としても真面目に考える必要があると思われる。そうしたことを背景に、超対称性を数学としてどのように捉えることができるのかという問題を考察した。そのために、Lie群とその表現からなる半直積群のLie群としての変形という問題を考察し、その結果、これをsuperなcategoryで考えるとき、ある方向には常に半直積群をsuper Lie群として変形できることが分った。そこでは、superなcategoryで考えることが本質的であるが、超対称性も、こうしたものの例として、数学的に自然に理解できることが分かった。超対称性という視点から見ると、幾何学が新しい様相を呈して見えてくることは、物理から示唆されることであるが、ここで得られた数学的な基礎のもとで、幾何学を見直すことで、今後、位相不変量やその背後にある幾何学的構造について、より深く理解できるようになるのではないかと期待している。
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