研究課題/領域番号 |
08740081
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
解析学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小澤 徹 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70204196)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 非線型シュレディンガー方程式 / 非線型クライン・ゴルドン方程式 / 散乱理論 |
研究概要 |
非線形のSchrodinger方程式、Klein-Gordon方程式で長い有効距離をもつ相互作用系を散乱問題および初期値問題として扱った。これら古典場の偏微分方程式は場の量子論の正当性を根底で支える理論的拠り所であるばかりでなく非線型偏微分方程式の理論体系から見ても重要な数学的対象である。非線型効果の長時間的影響には方程式のもつ様々な個性が関与する為既存の一般論では的確に取扱えないという困難を常に内包している。特に時空1+1次元の三次非線型性或いは1+2次元の二次非線型性は物理的にしばしば現れるモデルであるが時間無限大においてその波動函数は漸近自由解には収束しない。これは漸近自由解を立脚点とする従来の非線型散乱理論においては深刻な問題であり1970年代に始まり現在に至る迄少しずつ認識されてきた経緯がある。一般的に云ってこの問題は低次元空間における低次非線型性をもつ偏微分方程式に数多く起こり物理的には波動函数の位相因子の歪みとなって現れる。さて上記問題を合理的に解決せよというのがReadの問題であり長年に亘り未解決であった。研究代表者はまずFlato-Simon-TaflinのMaxwell-Dirac系を扱った研究を手掛りとし上記問題を空間一次元のSchrodinger方程式について解決した。次いでその理論の高次元化に取組みGinibreとの共同研究にてこれを成功させた。同様の試みはKlein-Gordon方程式についても成功するものと思われるが現在の所完成していない。但し空間二次元の二次非線型性の相互作用系についてはその数学的機構はほぼ明らかとなった。具体的には波動函数のもつ光円錐状での特異性発生の構造をポワンカレ群の生成作用素のなす不変ソボレフ空間にて解析的に記述することに成功し位相因子の歪みの統制が可能であることを示した。
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