研究課題/領域番号 |
08740090
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
解析学
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
松崎 克彦 お茶の水女子大学, 理学部, 助教授 (80222298)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | クライン群 / ハウスドルフ次元 / 極限集合 / フラクタル / 双曲幾何学 |
研究概要 |
本研究では、リマーン球面上の正則函数の力学系を扱う複素力学系の理論のうち、正則自己同相離散群(クライン群)を中心にとりあげ、擬等角写像の理論、タイヒミュラー空間論、双曲幾何学を使いながら、軌道の集積集合である極限集合に現われる自己相似的機構(フラクタル)のトポロジーとハウスドルフ次元の解析を行なった。BishopとJonesは有限生成クライン群の極限集合のハウスドルフ次元が2であるための必要十分条件は、クライン群が幾何学的有限ではないことであることを証明したが、そこでは、双曲的多様体のラプラシアンの最小固有値とポアンカレ級数の収束指数との関係、さらに等周不等式やCheeger定数、ブラウン運動の衝突確率など、群に対応する幾何学的対象上での微分幾何が有力であることがでは再認識された。本研究では彼らの方法を踏襲しながら逆に、無限型n次元双曲的離散群の極限集合のハウスドルフ次元がnより小さいための条件を、対応する双曲的多様体の幾何学的性質で記述した。具体的には、多様体の凸核のその境界からの距離によりハウスドルフ次元が評価できることを証明した。また凸核内に、境界から遠くても無視できる領域が設定できることがわかり、より精密な評価と、適用できる範囲が広がった。今後は、このような幾何学的量はクライン群の幾何学的収束に関し連続に変化するので、その評価を精密にし、系に摂動を与えたときの極限集合のハウスドルフ次元の変化を調べる予定である。
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