研究概要 |
報告者は、単位円板上で解析的で、原点で値が0微分係数が1に正規化されたBloch及び局所単葉Bloch函数族について、zを固定したときのf′(z),f″(z)の値の範囲を求めるという、いわゆる歪曲評価を試みた。 論文[1]は、Bloch函数族についてのsharpな結果を含む様々な歪曲評価について、suboridinationという考え方を用いて、ある程度統一的に導くことができることを示した。これはM.BonkとD.Mindaとの共同によるもので、ほぼ同時期に独立に行った研究が極めて近いものであったので、連名で発表を行ったものである。本論文ではf′(z)についての評価は、満足のいくものができたが、f″(z)については不完全で、よりよい評価ができると考えているが、これはさらなる研究を行い完全なものにしたい。 論文[2]は、局所単葉Bloch函数族に関する歪曲評価を行っている。これは論文[1]の研究を行った後に、同様な方法で局所単葉Bloch函数族に応用できないかを研究したものである。局所単葉性という条件が増えるとBloch条件のみよりは、f′(z),f″(z)の値の範囲が狭まるはずであるが、これが実際どの程度まで狭まるかについて、sharpな評価を含む様々な歪曲評価を得ることができた。
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