研究課題/領域番号 |
08740127
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
数学一般(含確率論・統計数学)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
井上 昭彦 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50168431)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | regular variation / フーリエ積分 / フーリエ級数 / ハンケル変換 / マーサー型定理 / タイバー型定理 |
研究概要 |
(1) Mercer型定理とは、Abel-Tauber型定理のある意味で逆を主張するもので、regular variationの分野では基本的な重要性を持つ。以前に私がN.H.Bingham氏との共同研究で得ていたフーリエ変換及びハンケル変換に対するMercer型定理は、高次のHankel変換には適用できなかった。これは、ここで考えている積分核のMellin変換像が、問題となる実軸上の区間で単調にならないからである。このような場合には、より扱いやすい絶対収束する積分変換に対しても、これまで有効な手段がなく、Mercer型定理を証明する上での障害になっていた。今年度の研究で得られた最大の成果は、この困難を乗り越える方法を発見し、Mercer型定理の高次のHenkel変換への拡張に成功したことである。鍵となったのはあるトリックで、それは考えている関数をある2種類の変換で正規化するというものである。いまの場合にはこのトリックは問題を局所化するという効果を持つ。このトリック自体は気づけば簡単なことであるが、それにもかかわらず、これは他の問題に対しても大変有効であることが分かってきている。まずこれをDrasin、SheaそしてJordanなどの人々の研究対象であった絶対収束する一般の積分変換に適用すると、結果が実質的に拡張されると同時に、証明も大幅に簡易化されることが分かる。更にこのトリックにより、Mercer型定理から関数の位数に対する仮定を取り除く手法を、Hankel変換のような絶対収束しない場合にも適用できるようなった。このトリックは、これからのこの分野の研究において基本的な道具になるものと考えている。 (2)フーリエ級数及び積分に対するTauber型定理において、Fourier-Stieltjes版を考えることにより、非単調な関数や係数を扱えるようになることが分かった。特に、以前に得ていた境界の場合のフーリエ級数に対するTauber型定理の類似物を、Fourier-Stieltjes版で証明した。このような類似物の証明は、他にもいろいろできると思われる。このようにFourier-Stieltjes版を考えることは、結果を拡張することの他に、確率論などへの応用により適しているという実際的な長所がある。
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