研究概要 |
本研究開始前,間欠カオスを生じるようなある特別なクラスの一次元写像の力学系におけるエルゴード理論的に意味のあるある種の極限について研究し,その極限の存在および極限値に関する結果を得ていた.そこで,本研究は, ・最近成功した特別なクラスの一次元写像に対する結果を興味深い例を含む一般的な一次元写像に対するものに拡張することと, ・エルゴード理論的に意味のある時間平均の極限値が定まらずに振動するような条件を得ること, 間欠カオスがみられる多次元の力学系に対しても,同様の極限について予備的な考察をすること を目的として実施した. 性能がよく使い勝手がよいコンピュータを購入して,数値実験・シミュレーションによって,ある程度の状況を把握し,予測をたて,また,この研究において重要な確率論,力学系に関連した図書を購入して活用し,さらに,研究の進展にあわせて,確率論や力学系の専門家と直接会って,この研究の進展状況を説明し,意見交換を行ったり,専門的知識・資料の提供を受けたりして,それらを参考にして研究を行った. その結果,私が最近成功した特別なクラスの一次元写像に対する結果を,興味深い例を含む一般的な一次元写像に対するものに拡張することができた.また,時間平均の極限値が定まらずに振動するような写像のクラスを見いだすことができた.また,間欠カオスを生じるような多次元の力学系に対しても今後の研究のための予備的考察を行うことができた.なお,この研究の成果を確率論関係の国際会議等において発表した.
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