研究課題/領域番号 |
08740202
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
素粒子・核・宇宙線
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
横山 順一 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教授 (50212303)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 宇宙初期 / 相転移 / Higgs場 / ランジェバン方程式 / 有限温度の場の理論 / 電弱相互作用 |
研究概要 |
素粒子相互作用の標準理論のHiggs場に対して有限温度に於いてclosed time pathの経路積分を用いて実効作用汎関数を求め、そこからHiggs場の期待値に対する近似的な運動方程式を導出した。実効作用の虚部は運動方程式においてはノイズとして働く。この定式化では散逸項を第一原理から出すことができないために、ここでは統計力学を用いて揺動散逸関係を課すことにより、これを求めた。この運動方程式のノイズ項の相関は、Higgs場と相互作用している粒子のグリーン関数の自乗で与えられるが、今有限温度を考えているため、フェルミオンとの相互作用による場合とボソンとの相互作用による場合とで振る舞いが大きく異なる。前者は空間的にランダムなノイズとなるが、後者はべき乗則で減衰する相関を持つ。そこで本研究ではそれぞれのノイズの影響を個別に調べるために、ボソンノイズだけのある場合とフェルミオンノイズだけのある場合について数値解析を行った。その結果、前者は臨界温度での場の一様性を損なわないが、後者により、真真空と偽真空が混ざり合った状況が実現することがわかった。実際の相軽移では両方のノイズが同程度の強さで存在することから、実際の相転移はフェルミオンノイズのために一次とはならず、二次相転移的に進行することが結論された。従ってこの相転移時にバリオン非対称の生成を行うのは不可能であることがわかった。 このほか、標準理論のHiggs場には非位相的なストリング解があることが知られているが、これは実際の相転移では、場の自由度が大きすぎるために、生成しないことがわかった。
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