原子核の低エネルギー励起状態への遷移によるWIMPsの探索には、エネルギーの低さ、核行列要素の大きさの点から^<127>Iの第1励起状態への遷移を調べることが有利である。この研究では^<127>Iを含むNaI(Tl)シンチレーターによるスピン結合型WIMPs探索の可能性を調べた。 NaI(Tl)による実験は神岡地下観測所に設置されたELEGANTVを構成するNaI(Tl)検出器を用いて行った。約6ケ月間の測定データよってWIMPsの非弾性散乱の事象を調べ、その上限値約4.98×10^<-2>/kg/dayを世界で初めて得た。この値は世界の他の最先端の研究によって与えられた値と同程度あるいは上回る値であり、超大型のNaI(Tl)シンチレーターによるスピン結合型WIMPsの探索が非常に有利な手段であることを明らかにした。 更に、超大型のNaI(Tl)の統計精度について評価を行い、1000kgに近い超大型のNaI(Tl)シンチレーターによる季節変化の測定でスピン結合型WIMPsの探索を行うことが極めて重要であることを示した。この方法では、弾性散乱と非弾性散乱の両方の季節が変化を捉える事によって、確実なWIMPsの探索を行うことが可能である。この研究性成果は、1996年10月の日本物理学会(佐賀大学)及び11月の2ndRESCEU International Symposium on Dark Matter in the Universe and its Direct Detection(東京大学)において発表された。
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