研究概要 |
Eeic D'Hoker氏とともに自由度の多い非臨界弦(中心電荷cが1より大きい場合)の高エネルギーにおける散乱振幅を求め,解析した.この散乱振幅を求めるため非臨界弦の散乱振幅が高エネルギー領域ではリュウヴィル理論の鞍点法を利用して求められることを示し,系統的に計算する手法を開発して用いた.その結果,高エネルギーにおいては散乱エネルギーについて指数関数的なRegge的振舞いを示すことが明らかにした.弦理論特有の振舞であり自由度の少ない非臨界弦とも異なった振舞である.現在まで具体的計算結果の少なかった自由度の多い非臨界弦において系統的に散乱振幅を求める手法を開発したことと,それを用いて高エネルギー散乱振幅の具体的な振舞を求めたのは重要だと思われる.この成果は1996年度に出版されたものと,論文掲載が決定されているものがある. 重い粒子の低エネルギーにおける物理的量子効果について,次元のある結合定数がnon-decoupling効果を引き起こすことを示し,その効果の重い粒子の質量依存性を解析した。その結果次元のある結合定数によるnon-decoupling効果は次元のない結合定数による効果とは異なった質量依存性を持つことも解明した.同時に重い粒子の量子効果においてゲージ粒子と南部Goldstone粒子の同等性が成立する場合と成立しない場合の両方の具体例を示し,その理由を解明した.湯川相互作用,スカラー4点相互作用といった次元のない結合定数によるnon decoupling効果は現在まで数多くの分析がある.それに対し,次元のある結合定数の効果の分析は少ないが重い粒子の量子効果の系統的理解には不可欠である.この結果については現在論文を推敲中である.
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