研究課題/領域番号 |
08740264
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
森下 將史 筑波大学, 物理学系, 助手 (90251032)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 2次元フェルミ流体 / ヘリウム3 / 薄膜 / 超低温 / 比熱 / 磁化 |
研究概要 |
graphiteは原子レベルで平坦な表面を持ち、この上に物理吸着したヘリウム3(^3He)薄膜は2次元フェルミ粒子系として様々な2次元量子物性を示す。本研究ではこの系の比熱を0.089〜0.260Å^<-2>の広い吸着面密度にわたり、90μKから80mKで測定した。この測定は従来の測定を一桁以上低温側に拡張したものであり、これにより比熱の全貌が初めて明らかとなった。吸着第2層の固相では^3He原子間に数mK程度の交換相互作用が存在するが、これに比べ一桁以上低温まで相転移を示す比熱の異常は観測されず、この系の2次元性が非常に優れていることが実験事実として確認された。また、より低い面密度領域で実現される液相においては、約4mKに、フェルミ流体から期待される温度に比例する比熱の振る舞いからのズレとして異常が観測された。これについては既に、米国AT&T Bell研究所のGreywallとBuschは2mKから200mKの範囲で行った比熱測定において、約3mKにで比熱の折れ曲がりとして指摘していたが、彼らが使用していたCMN温度計がこの温度域で信頼性がなく、折れ曲がりの温度が面密度に依存しないこともあり、この異常の存在は疑問視されていた。本研究では0.1mK以下まで核帯磁率がCurie則に従う白金NMR温度計を用いて信頼性の高い測定を行い、この存在を確認したが、温度依存性は彼らの測定とは定性的に異なるものであった。この異常が液相のBCS転移に依るものであるのか、吸着基盤のheterogeneityに由来するものであるのかは依然不明であるが、今後、面密度依存性や吸着基盤にヘリウム4(^4He)をpre-coatした際の異常の有無を調べ、比熱異常の原因を究明する予定である。さらに、現在製作中の帯磁率測定装置も冷凍機に組み込み、帯磁率と比熱の同時測定により、この2次元フェルミ流体の性質を調べる予定である。
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