研究課題/領域番号 |
08740276
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊東 裕 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10260374)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 有機超伝導体 / 2次元的超伝導 / 面抵抗 / 量子ゆらぎ / ク-パ-対局在 / ジョセフソン結合 |
研究概要 |
BEDT-TTF系有機超伝導体では最高の超伝導転移温度を持つが30MPa以上の圧力下でのみ抵抗ゼロの完全な超伝導転移を示すκ-(BEDT-TTF)_2Cu[N(CN)_2]Clの圧力下における電導面内及び電導面間方向の電気抵抗を測定した。その結果、完全超伝導転移の臨界圧力30MPaで転移点直上の面抵抗(電導層の単位面積当たりの抵抗値)が臨界値6.5kΩに向かって数桁に及び急激に減少すること、また電導面間方向の電気抵抗は19MPa以下では超伝導転移による減少が見られなくなることを見出した。このことはこの物質で2次元的な超伝導が実現されており、面抵抗の値に依存する量子ゆらぎ効果により、臨界圧力より低圧側では超伝導転移に伴い形成されたク-パ-対が局在した超伝導局在状態にあることを示している。電導面間方向に超伝導転移が見られなくなることは、電導面間の超伝導結合がジョセフソン結合に因っており、そのような結合は超伝導が局在している状態では形成されにくくなるとして説明できる。また臨界圧力近傍の33MPaでの磁場下測定により、磁場によって絶縁相の誘起が見出され、磁束密度の変化による超伝導局在の増強現象を観測した。 一方、類似物質で超伝導安定化の臨界圧力が低いκ-(BEDT-TTF)_2Cu[N(CN)_2]Brの重水素置換体についても圧力下の電気抵抗を測定し、完全超伝導転移の臨界圧力9MPaで面抵抗の値が大きく減少することを見出し、常圧近では超伝導局在状態にあることを明らかにした。また新しい有機導体(DTEDT)_3 SbF_6について0.2K以下で不完全な超伝導転移を観測し、面抵抗の値から同様の超伝導局在現象が生じていることを明らかにした。
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