研究概要 |
本研究では、価数揺動物質(CeNiIn,CeNiSnなど)の物性を室温以上の高温で測定する事を目標として磁化率、電気抵抗率、比熱測定の装置の改良,開発を行った。 磁化率測定については、既存の試料振動型磁化測定装置において試料ホルダーの材質の改良等を行いバックグラウンドの低減を行った。しかし、高温では物質の磁化が非常に小さくなることもあり、十分な感度が得られなかった。 研究の中心となる高温比熱測定は、光交流法の測定原理に基づいて一から設計開発を行った。光交流法において試料に照射する断続的な光は、ハロゲンランプ(50W)の光をレンズで集光した後、ステッピングモーターにより高精度に回転速度を制御した羽でチョップする事で得た。試料の熱応答は直径25ミクロンのアルメルクロメル熱電対で得た信号を、トランス-プリアンプ(SRS社SR554)で増幅し、ロックインアンプ(SRS社SR810)で検出した。以上のセッティングで3〜10Hzの低周波数領域でも良好な熱応答を観測する事に成功した。 この装置を用いて、窒素温度から室温までの範囲で標準試料(Cu)の比熱の相対値の温度変化の測定を行い過去のデータと整合する結果を得た。また、予備実験としてCeNiInを用いて比熱測定を行った。CeNiInは過去のデータが窒素温度以下でしか測定されていないため、整合性の確認はできていないが問題なく測定できている。今後、測定領域を低温,および室温以上の高温に拡大し、動作試験,測定を行う予定である。
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