研究概要 |
メタ磁性を示す新しい重い電子化合物CeNi_2Ge_2の物性の結晶体積依存性を研究した。 (1)高圧下の物性:室温で、Bridgmann-type Tungsten-Carbide opposed anvilを用いて70kbar以下の静水圧下でX線粉末回折を行った。結晶体積の圧力依存性から、等温圧縮率kは0.00115kbar^<-1>と求められた。銅ベリリウム製のクランプセルを用いてP≦10kbarで帯磁率、電気抵の測定をおこなった。2Teslaの磁場で測定した帯磁率の温度・圧力変化のよると、加圧とともに帯磁率は小さくなり、常圧で28Kにあった極大は高温側へシフトする。帯磁率の極大の値と温度で縦・横軸はよくスケールされ、それぞれのスケールファクターおよび等温圧縮率から、グリュナイゼン係数はいずれも約40と見積もられた。 (2)元素置換効果:結晶体積を膨張させる目的で擬3元化合物Ce_<1-X>La_XNi_2Ge_2(単結晶,x=0.06,0.09)を作成し、磁気転移の有無を確認した。単結晶の電気抵抗(j//c-axis)を希釈冷凍機を用いて60mKまで測定を行ったが、磁気転移に対応するとおもわれるような異常はみられなかった。これからランタン置換系では少なくとも9%の置換では磁気転移は発現しないことがわかった。 以上の結果から、GeNi_2Ge_2の物性は、典型的重い電子メタ磁性物質CeRu_2Si_2と比べると、結晶体積の変化に対してそれほど敏感に変化しない事がわかった。これは、グリュナイゼン係数が40と重い電子系では比較的小さいことに起因すると考えられる。
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