研究課題/領域番号 |
08740311
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性一般(含基礎論)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小形 正男 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60185501)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | スピン・ギャップ / RVBシングレット / 格子型スピン系 / t-Jモデル |
研究概要 |
本研究では、いくつかのモデルにおいてスピン・ギャップが生じる場合およびスピン・ギャップが消える場合について、相図や物性を調べることが主な目的であった。 まず、1つのモデルとして梯子型スピン系を取り上げて、その基底状態、有限温度の状態をいくつかの数値計算と摂動論を組み合わせて調べた。この系は、不純物がなければスピン・ギャップを有する系である。この場合の交替帯磁率の温度依存性を量子モンテカルロ法を用いて調べた。交替帯磁率は絶対零度で0にならず、一定の値になるが、これについては強結合の領域からの摂動展開を調べることにより、RVB状態という観点から理解されることがわかった。梯子間相互作用などのフラストレーションの効果は、厳密対角化を用いて現在調べている。 更にこの系に不純物を導入していくと、不純物の回りに反強磁性的な状態が誘起される。これは完全なフラストレーションということではないが、不純物の存在によって、スピン・ギャップ状態が部分的に破れる状態を作ることができる。この場合の交替帯磁率は非常に大きくなるが、不純物濃度が非常に低い場合には独立した局在スピンによるものとして理解できる。不純物濃度が5%程度に大きくなると、相互作用によって複雑な温度依存性を持つことがわかる。実際の物質では、このenhanceされた交替帯磁率と梯子スピン間の相互作用によって、3次元長距離秩序が形成されると考えられる。 また1・2次元t-Jモデルという別の系に対して、RVB状態を用いた波動関数を考え、変分モンテカルロ法を用いて相図を詳しく調べた。特に基底状態の波動関数の性質を、変分という観点から明らかにした。2次元の場合には、RVB状態によるスピン・ギャップを有するs波超伝導状態が相図中で可能であることを示した。
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