研究課題/領域番号 |
08740313
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性一般(含基礎論)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 伸泰 東京大学, 工学系研究科, 助教授 (70211745)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 粉粒体 / 粉体 / 粉体振動層 / 多分散性 / 偏析 / 固液転移 / 相転移 / 複雑流体 |
研究概要 |
本研究では、粒子系の統計力学的な振舞いとの類似を研究するために、粉粒体を入れた容器に振動を加えた系(粉体振動層)への粒径の多分散性が及ぼす影響を計算機シミュレーションによって調べた。 計算機シミュレーションに際して、粉粒体粒子は斥力ポテンシャルと動摩擦との2体相互作用をしている粒子としてモデル化した。粒子の平均直径を長さの単位とする。各粒子の大きさは、σ_0を正として(1+σ_0)または(1-σ_0)を確率1/2でとるとする。σ^2_0は粒子の大きさの、粒子の個数に対する分布の分散となり、粉粒体の多分散性を表す。 このモデルで、パラメータを適切に選んで粉粒体振動層における流動化現象が再現できた。 多分散性σ^2_0をあまり大きくすると、粒子の大きさが容器の高さに依存するため(偏析現象)粒子の分布はゆっくりと変化して行く。この偏析の生じる様子も本研究のシミュレーションにより観察された。 一方、σ^2_0が0.02あたりまででは、振動開始から数十周期から3,400周期までにわたって単分散の場合と同様な定常状態が維持されることが確認できた。この時間スケールでの定常状態で、高さ依存の運動エネルギーの多分散性σ^2_O依存性を調べた結果、以下の振舞いを発見した: ・多分散性が小さい時、振動層の振舞いは多分散性の変化に敏感(敏感相)である。 ・多分散性が大きくなると振動層の振舞いは多分散性の変化に鈍感となる(鈍感相)。 ・上記2つの敏感相と鈍感相との境目の多分散性の大きさは、多分散性分子からなる物質の固体と液体との共存状態が消失する臨界分散値に等しい。この値は、従来の偏析の研究に際して扱われてきた多分散値よりもはるかに小さい値である。 これらの研究のために用いるベクトル計算機用のシミュレーションプログラムの研究も行ない、世界的にみても効率の良いプログラムを開発した。
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