研究課題/領域番号 |
08740320
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性一般(含基礎論)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
瀬戸 秀紀 広島大学, 総合科学部, 助手 (60216546)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | マイクロエマルジョン / 構造相転移 / 中性子小角散乱 / X線小角散乱 / 中性子スピンエコー法 / 双直結構造 / ラメラ構造 / 高圧 |
研究概要 |
本研究は、マイクロエマルジョンのセミマクロ構造の形成要因を、特に構造相転移とそのダイナミクスに着目して明らかにすることを目的とする。そのため試料として、水、n-decane、イオン性界面活性剤AOTを混合した系(WDA)と、水、n-octaneと非イオン性界面活性剤のC_<12>E_5を混合した系(WOC)を用いた。どちらの場合も、主にbicontinuous構造とカメラ構造の間の相転移を調べるため、水と油の体積比をほぼ同じものとした。 1)WDAについて、bicontinuous構造とラメラ構造の出現条件とその特徴について調べた。これまで、NaClを入れない場合はwater-in-oil droplet構造で、NaClを加えるとbicontinuous構造になると言われていたので、これを確認するためX線小角散乱により構造変化を調べた。その結果、塩濃度の増大により水の領域と油の領域の繰り返し周期が小さくなることが分かったが、秩序度に変化は見られずbicontinuous相とdroplet相の違いは見られなかった。また塩により温度上昇で現れるラメラ相の出現が抑えられることが分かった。更に、室温、無塩のdroplet構造の系に対する圧力効果を中性子小角散乱により調べた。この結果、圧力によってラメラ相へ相転移が起きることが初めて分かった。その後、本補助金により購入した圧力セルを用いてX線小角散乱実験により、中性子散乱の実験結果を確認した。 2)WOCについて、bicontinuous構造とラメラ構造の系の中性子小角散乱実験と中性子スピンエコー実験を行い、その構造とダイナミクスについて調べた。これにより、bicontinuous相の拡散係数が0.3<Q<1.3(nm^<-1>)ではQに依存しないほぼ一定の値(〜3×10^<-7>cm^2/s)であったのに対し、ラメラ相では0.3<Q<0.7(nm^<-1>)でQの増大とともに拡散係数の値が8×^<-7>cm^2/sまで急激に減少していることが分かった。この結果の解釈については現在検討中である。また、TOF法によるこの系の中性子準弾性散乱実験を現在準備中であり、膜のミクロな運動状態とセミマクロ構造との関係についても調べる予定である。
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