研究課題/領域番号 |
08740337
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理学一般
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
桂川 眞幸 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (10251711)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 多光子イオン化 / 量子干渉効果 / 水素原子 / Dressed State / 強結合 |
研究概要 |
本計画の目的は、多光子イオン化過程に現われる量子干渉効果の基礎的物理的側面を明らかにし、非線形光学過程における多光子イオン化過程をも含めた"制御"の可能性を探ることにあった。 対象とした媒質は理論的に厳密な取り扱いが可能である水素原子である。基底状態1sと二つの上準位2s、3pとからなる水素原子の3準位系に対し、上準位2s、3p間を強いレーザー場によって強結合し、基底状態からこの強結合上準位系に2光子共鳴するレーザーによる多光子イオン化過程を観測した。Dressed Stateの位置では、2光子励起過程によるイオン化と発生した和周波光の再吸収過程によるイオン化の間に生じる相殺的量子干渉効果により、媒質密度相互作用長(NL)積の増加とともに、多光子イオン化信号がほぼ完全に消失するのが観測された。二つの多光子イオン化過程の間の位相関係は、二光子励起光と発生した和周波光の位相関係で決まるので、それをコントロールすることで、完全な相殺的干渉から相乗的干渉まで任意に多光子イオン化信号をコントロールできることがわかった。一方、二つのDressed Stateのセンター、つまり3p準位の位置では、NL積の増加とともに発生した和周波光による極めてシャープなイオン化信号が観測された。この信号の幅は、最終的に準安定準位2s状態の自然幅まで狭くなりうることから、3p準位の自然幅を越えた高分解分光に利用できることが副産物的にわかった。
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