研究概要 |
今年度は、まず、負イオン生成の方法を詳細に調整し、負イオン生成の効率、ビーム強度、安定性、操作容易等の優れた特性を持つCs Sputtering負イオン源を選定した。現在、負イオン源を設計・製作中である。今年度の科研費をいただいて、主に真空槽の真空ポンプと試料を購入した。 また、負イオンレーザー分光の予備実験として、Li,Ba,Smの高分解能レーザー分光を行った。原子線源を製作し、安価、高効率、操作容易の半導体レーザーを用いて、Li,Ba,Smの蛍光スペクトルを観測し、同位体シフトと超微細構造を測定した。本研究により、半導体レーザーは同位体シフトと超微細構造の研究に十分な分解能をもつことが証明された。同位体シフトから、Baの6s電子の原子核の位置にある電子密度が求められた。この値をHartree-Fock計算値と比較した。Smの測定から、平均二乗核電荷半径の差が得られ、Smの同位体における核のShape Transitionの現象が確認された。また、超微細構造から、超微細構造定数を求め、電子が核の位置に作る磁場及び電場勾配を導いた。半導体レーザーによる高分解能BaやSmのレーザー分光は今回初めてである。これらの成果は、96年秋と97年春の日本物理学会で発表し、さらに原著論文として、現在投稿する準備中である。 今後、負イオン源を現有の真空槽に取り付けて、負イオンのレーザー分光を行う。
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