研究概要 |
部分熔融体の動的挙動についての理解は,マントル部分熔融領域におけるマグマの発生・上昇を解明するうえで不可欠である。私は,(1)静水圧状態におけるミクロな構造の観察,(2)変形状態におけるミクロな構造変化のその場観察,(3)大型試料を用いた変形実験によるマクロな物性の測定,という3つのアプローチから部分熔融体の動的挙動を明らかにすることを目指している.本研究では,上記の(1),(2)についての実験方法の開発を行った.なお,実験ではボルネオール+ジフェニルアミン2成分共融系をマントル部分熔融体のモデルとして用いている. (1)静水圧状態におけるミクロな構造の観察 ・CCDカメラ,顕微鏡,コンピュータを組み合わせてミクロな構造の解析システムを構築し,粒径や二面角などの測定を容易にした. ・ボルネオールのみの試料について,構造観察に適する試料作成法の研究を行った.初期粒径,温度,時間,封圧などの条件の異なる圧密試料について構造観察を行い,約50度の温度と10時間以上の加圧時間という条件が必要であることを明らかにした. ・ボルネオール+ジフェニルアミンの試料について,メルトの形態観察に適した試料作成法の研究を行っている.ボルネオールのみの場合と同様の条件では,メルトが圧密中に速やかに抜けてしまうことがわかった.メルトと固相とを平衡共存させる方法を現在研究中である. (2)変形状態におけるミクロな構造の観察 顕微鏡下で回転式変形実験を行うための装置の設計と,その制御システムの開発を行った.
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