研究概要 |
海色衛星データを使って海上の黄砂をとらえようと試みた。まず、衛星データと黄砂分布の関係を調べるために、地上気象観測データより黄砂の観測点の分布を調べ、衛生データから得られたエアロソルのスペクトル依存性を表すパラメータ(ε(550,670))の分布画像との比較を行った。地上観測データは、国際気象通報式より黄砂、砂塵嵐の観測された観測点の日時、場所を天気情報をデータベース化した。期間は、CZCSの稼働期間と合わせるために1978年11月から1986年6月までとした。このデータベースを使って、黄砂の観測の多い日付を特定したところ、期間内に37日あった。これらの日付と同日の衛星データを抽出した。対象とした衛星データは、CZCSの日本近海の全データ約4000シーンである。同期した衛星データからε(550,670)値の分布を画像化し、その上に同日の黄砂観測のあった観測点をプロットした。その結果、ε(550,670)値は、黄砂がない場合、1.0ないしは1.0より大きく、一方、黄砂が存在すると考えられる場合、0.8〜1.0となり、黄砂が存在すると明らかに低くなることがわかった。このように、海色衛星データから海上の黄砂を観測できることがわかった。次に黄砂分布のの時間的な変化を調べようと試みたが、抽出された黄砂観測と同期した衛星データは、7日間(15シーン)のみであった。このわずかなシーン数では、衛星からの黄砂の時間的な変動を見るには不十分であった。CZCSは試験センサーだったため同一海域の取得頻度が低かったためである。以上のことをまとめると、黄砂と同期した海色衛星データがあれば海上の黄砂観測は十分可能であると考える。黄砂分布の時間的な変動の研究には、時間的に連続したデータが必要であり、昨年打ち上げられたADEOS/OCTSのデータの解析を進める必要がある。
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