研究課題/領域番号 |
08740392
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
地質学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田上 高広 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80202159)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 造山活動 / 環太平洋 / 付加体 / 年代学 / 大規模火成作用 / 白亜紀 / スーパープルーム / 地球変動 |
研究概要 |
現生付加体の構造と力学特性および西南日本とカリフォルニアの地質大構造に基づき、コルディレラ型造山帯での物質移動の枠組みを与える作業仮説を提案し、年代学的に検証した。その基本的な過程は、(1)非定常的な大規模火成活動(2)海溝への堆積物供給量の増加(3)付加の促進(4)付加体内での大規模物質移動と深部物質の上昇冷却、である。 それでは、このような非定常的変動現象はどのような広がりを持ち、また、地球システムとどのようなつながりを持つのであろうか?そこで我々は、コルディレラ型造山運動の変動要素の中で、現時点で最も明確である大規模火成作用の時空分布を環太平洋地域で探った。まず白亜紀に焦点をあて、次の5つの大規模火成帯について形成年代をまとめた:西南日本(ユーラシア大陸東縁)、カリフォルニア・シェラネバダ帯(北米大陸西岸)、ペル-・沿岸バソリス(南米大陸西岸北部)、チリ・パタゴニアバソリス(南米大陸西岸最南部)、スンダランドバソリス(東南アジア)。その結果、花こう岩類を主体とするこれら5つの大規模火成帯にはほぼ一致した形成時期があり、全体として見ると100Ma頃に火成活動の最盛期があったことがわかった。 さらに、それら火成帯の年代は、Larson(1991)がスーパープルームに起因すると考えた海洋地殻生産量の最盛期によい一致を見せる。この生産量は、太平洋に散在する大規模海台の形成量と海嶺での海洋底生産量の総和であり、また、プレート運動の復元から、スーパープルームの活動は南中央太平洋が中心であったと推定されている。従って、太平洋の中央と周辺で白亜紀の中頃ほぼ同時に、きわめて大規模な火成作用を伴う地球変動があったことが明らかになった。 これらの事実から、陸上火成活動が古地球気温を左右したこと、地殻生産と大陸成長の全地球的非定常同時性、そして、120Ma頃ほぼ同時に太平洋の真ん中と周辺で始まった非定常的な全マントル対流に伴うマントル深部から最上部マントルヘの急速な熱輸送が示唆された。
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