研究概要 |
用意した動物の骨は現生が,ニホンイノシシ(Sus scrofa leucomystax),リュウキュウイノシシ(S.s.riukiuanus),ニホンカモシカ(Capricornis crispus),ニホンジカ(Cervus nippon nippon)。化石が沖縄島産イノシシ(S.scrofa),シカ(Cervus nippon)である。 これらの試料各2gをPBS+PI→GuHCI+PI→sup.sample A,ppt.→GuHCI+EDTA+PI→sup.sample Bで順に処理し,各試料について脱灰前に溶出させたsample Aと,脱灰後に溶出させたsample Bを得た。さらにこれらをゲル濾過カラムを用いて脱塩後,タンパク量を測定した。結果は全ての試料にタンパク質が含まれていたが,化石試料には少なかった。試料を5ngずつに分け凍結乾燥して以降の試料とした。 次に,化石試料に含まれるタンパク質がバクテリア由来のものでないことを確かめるためと,他の試料にどのようなタンパク質が含まれているかを大まかに判断するために,SDS-PAGEにかけて銀染色とCBB染色を行った。 その結果全ての資料のCCB染色でcollagenα1とcollagenα2と思われるバンドが見られた。銀染色ではcollagenα1とcollagenα2に相当する位置が抜けていた。collagen以外のタンパクは検出されるが特定はできなかった。同じ動物の骨のsample Aとsample Bの違いは認められなかった。 本年度予定していたELISAによる同定は,化石の沖縄島産シカ(Cervus nippon)だけについて行うことができた。結果は,抗シカ抗体に交差してシカだと確認された。これで方法についてめどが立ったので,今後は今年度作製した試料についていろいろな抗体をあてて,データを蓄積する。
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