研究課題/領域番号 |
08740507
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機化学
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
椎名 勇 東京理科大学, 総合研究所, 助手 (40246690)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | タキソ-ル / 抗癌剤 / 炭素八員環 / 不斉全合成 / マイケル付加反応 / 分子内アルドール反応 / 分子内ピナコール反応 |
研究概要 |
1971年に西洋イチイの樹皮より単離されたタキソ-ルは米国国立癌研究所において強い抗腫瘍活性を示すことが見いだされ、抗癌剤としての利用が期待される微量天然有機化合物である。筆者はタキソ-ルの中心骨格である光学活性な炭素八員環をまず最初に構築した後に引き続きAおよびC環を導入する従来報告された合成法と全く異なる新しい合成戦略を考案し、この計画に基いてタキソ-ルの不斉全合成を達成することを目的として研究を行っている。本年度はこれまでに合成した炭素八員環状化合物を出発物質とし、ここからタキソ-ルの基本骨格を合成する手法の開発を目的として種々の検討を行った。その結果、タキソ-ルのBC環部、さらにABC環部骨格の効率的な構築法を明らかとすることができた。すなわち、上記八員環状化合物に対するγ-アルコキシビニル銅錯体のマイケル付加反応によりタキソ-ルのC環部位を八員環上に導入した後ケトアルデヒドへ導き、分子内アルドール反応によって立体選択的にタキソ-ルのBC環部位が構築できることを見い出した。また、A環部位の構築については以下の新しい導入法を考案した。すなわち、まず八員環状ケトンに対しホモアリル化剤を求核付加させて高立体選択的にタキソ-ルの1位にホモアリル基および三級水酸基を導入した。さらに、シリレン架橋体を活用しここで生じる三級水酸基にシリル保護基を高収率で導入する手法を確立することができた。引き続き二重結合部位のWacker型酸化を行った後、低原子価チタンを用いる分子内閉環反応によりタキソ-ルのABC環に相当する誘導体を効率的に合成することができた。今後この新規タキサン系化合物の炭素8位に対するメチル基の立体選択的導入および炭素13位の酸素官能基化を経てすでに筆者らの明らかにしている鍵合成中間体に導くことによりタキソ-ルの不斉全合成を完結する予定である。
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