研究概要 |
本研究はC_<2v>型PtL_4フラグメントの自己集積化により新規の四核錯体等の合成を目的とした研究である。 1.フラグメント単核錯体の合成 (1) tren (=tris (2-aminoethyl) amine)を用いた単核錯体の合成:trenとK_2[PtCl_4],[PtCl_2(CH_3CN)_2]を反応させフラグメントとなり得る単核錯体の合成を試みた。しかし,これらの試みはいずれも赤褐色の沈澱を生成するのみであった。ここで得られた不溶性の赤褐色沈澱はtrenの4個目の窒素原子が隣の白金の空いたサイトに配位してできる錯体高分子であると考えられたが構造の決定には至っていない。 (2) cyclenを用いた単核錯体の合成:trenの場合錯体高分子が得られた理由として四配位目の窒素原子が比較的自由度が大きいため隣接の白金に配位してしまったと考えられるため,よりrigidな四座配位子であるcyclenを用いて合成を行った。[PtCl (CH_3CN)_3](ClO_4)とcyclenとの反応により[Pt (cyclen) X]^<n+>(X=solvent or Cl)の混合物が得られた。混合物ではあるが多核化に支障なしとして以下の合成に用いた。 2.多核錯体の合成 上記で得られた錯体をアセトニトリル中でAgClO_4と反応させたが,AgClを除いた反応溶液は淡黄色であり目的の四核あるいは三核錯体は生成していないと推定された。 3.今後の展開 今回多核錯体の生成に成功しなかった理由として原料である単核錯体が純粋に得られなかったこと,および反応を配位性溶媒中で行ったことが考えられる。そこで今後は,cyclen錯体を精製し純粋な[Pt (cyclen) X]^+を得,それを原料として非配位性溶媒中でAgClと反応させることを目指す。
|