研究課題/領域番号 |
08740535
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能・物性・材料
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
岩崎 賢太郎 千葉大学, 工学部, 助手 (00251182)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | フラーレン / 電子構造 / アルカリ金属錯体 / 高次フラーレン / 金属フラーレン / 窒素ドープ |
研究概要 |
1.本研究専用の真空昇華ラインを設置することにより、これまでと同じ時間で、原料フラーレンの純度と量を増加させることが可能となった。また、アジ化アルカリ金属の熱分解反応を行うための電気炉を新たに製作した。これらにより、錯体合成回数(実験試行回数)を増加することができた。 2.当初、錯体合成に仕込むアジ化アルカリ金属とフラーレンの量さえ正確に制御すれば、合成される錯体中の、フラーレンとアルカリ金属の存在比は化学量論的に明確なものになると期待していたが、アジ化アルカリ金属の熱分解反応の条件-主として反応温度および反応時間-を変化させることにより、得られる錯体中のフラーレンとアルカリ金属の化学量論比が大きく変化した。さらに、反応条件を丁寧に制御しないと、試料全体に均一な化学組成とならないことも判明した。また、特殊な反応条件下では、窒素原子をふくんだ錯体を得ることができた。この窒素原子をふくんだ錯体の電気輸送特性は、窒素原子をふくまないものと異なったものであった。 3.窒素原子をふくんだアルカリ金属フラーレン錯体の粉末X線回析の測定結果は、他の合成方法によって得られたフラーレンとアルカリ金属との化学量論比が明確な錯体の結果と異質のものであった。つまり、アジ化アルカリ金属の熱分解によるアルカリ金属フラーレン錯体の錯体合成方法では、アルカリ金属の存在比の明確な錯体を得る方法として有効であるが、注意を怠ると、窒素原子がふくまれた錯体を生成する危険性があることが判明した。 4.紫外線電子スペクトルの測定より、錯体中の窒素原子の化学量論比によって、電子構造が変化した。つまり、窒素原子の存在は、錯体の電気伝導度をはじめとする電子的性質に反映されるものであることが判明した。 5.C60以外のフラーレンについて、本研究で用いた方法により、窒素原子が存在するアルカリ金属フラーレン錯体を合成し、それらの電子構造について研究中であり、今後はこれを継続する計画である。
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