研究課題/領域番号 |
08740541
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能・物性・材料
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 将樹 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90271006)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 酸化物高温超伝導体 / 電子顕微鏡 / 電気四重極共鳴 |
研究概要 |
本研究では強い電子相関に基づく磁性あるいは電気伝導性を示す遷移金属カルコゲナイドについて固体化学的な評価を行うことを目的とした。主に対象としたのは、(a)Y_2Ba_4Cu_7O_<15-δ>、(b)Ba(Co_<1-x>Ni_x)S_<2-y>の2つの系であるが、紙面の都合上以下(a)について記す。Y_2Ba_4Cu_7O_<15-δ>(Y247)相は、YBa_2Cu_3O_<7-δ>(Y123)相と、YBa_2Cu_4O_8(Y124)相が、C軸方向に交互に積層した構造を持つ酸化物高温超伝導体であるが、その超伝導転移温度(Tc)には、これまで90K級および60K級の2種類の報告があり、研究者間で一致を見ていなかった。そこでこの2種類のTcをもつY247化合物を合成し、電子顕微鏡(TEM)観察および電気四重極共鳴(NQR)を用いて、微視的な結晶構造および電子状態を詳細に調べた。試料合成は通常の固相反応法(試料A)、錯体重合法(試料B)の2種の方法を用いた。交流帯磁率の結果、試料A、BのTcはそれぞれ65K、93Kであった。TEM観察の結果、試料Aの方はc軸方向にわずかな転位が見られるものの、ほぼY247構造の周期を保っていた。一方、試料Bの方は数単位格子程度のY123、Y124の領域が存在しているのが確認された。次にこれらの試料について、1.3KでCu核のNQR測定を行った。試料AのCu(2)サイトにおいてブロードな1種類のサイトが観測された。これは、理想的なY247相において、Cu(2)サイトが結晶学的に2サイトあり、それらがほぼ同一の共鳴周波数(ν_Q)を持つためであると考えられる。一方、試料BのCu(2)サイトは、試料Aと比較してシャープな2種類のサイトが見られた。この2つのサイトのν_Qは、Y123およびY124のCu(2)サイトのν_Qと同一の値を示した。このNQRの結果は、試料Bには、数ユニットセル程度のY123、Y124のマイクロドメインが成長していることを示唆しており、TEM観察の結果と一致している。従って 試料Bの高いTcはY123相(Tc約93K)のマイクロドメインに原因があると考えられる。
|