研究概要 |
超塩基であるプロトンスポンジの光機能化の検討を行った。このプロトンスポンジは、光照射によって塩基性を可逆的に変化させることができるので、新奇な機能性材料として期待できる。光照射による閉環反応でプロトンスポンジを与えると考えられる、二つのアントラセンの9位をジメチルチアエーテルで連結した、1,3-ビス(10-N,N-ジメチルアミノアントラリル)-2-チアプロパンをアントラセンより7行程で合成した。このアントラセン誘導体は、>300nmの光照射により、光反応が進行することが判った。今後、塩基性の光照射による変化を検討する。ナフタレンを基本骨格に有するジアリールエテン誘導体を用いた光機能化プロトンスポンジは、その合成において、中間体である3-N,N-ジメチルアミノ-1-ブロモ-2-メトキシナフタレンの合成ができず、この系でのプロトンスポンジの光機能化はあきらめた。一方、刺激応答性プロトンスポンジとして、フェナンスレン骨格を持つプロトンスポンジを設計し、その合成を行った。今後、刺激(プロトン添加など)によるプロトン増幅機能などの検討を行う。なお、この課題の光機能化プロトンスポンジを合成中に、得られた中間体を用いることによって、糖認識の光スイッチングレセプターを合成した。これは、光スイッチとしてのジアリールエテン誘導体を用いたものである。この糖認識の光スイッチを用いることによって、糖濃度を異なる波長の光を照射することにより、可逆的に変化させることができるようになった。
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