実験圃場で、葉の寿命の大変短い(数カ月)一年生草本シロザと、寿命の長い(数年)シラカシを生育させ、光条件を変えることにより、様々な窒素含量の葉を得て、光合成特性を調べた。同じ窒素含量で比較すると、シロザの方が2倍以上飽和光合成速度が高かった。これは、1)葉内細胞間隙CO2濃度、2) RuBPCase量、3) RuBPCaseあたりの光合成速度がいずれもシラカシで低いことに起因した。葉の炭素安定同位体比を測定することにより、3)のRuBPCaseあたりの光合成速度が低い理由が、細胞間隙から葉緑体までのCO2核酸が低いためであることが示唆された。 千葉県東大千葉演習林内でアカガシ、スダジイ、ヤブツバキ、シキミ、サカキ、イズセンリョウ、シロダモ、ヤブニッケイの葉の寿命の追跡を行い、さらに光合成を現地で測定した。常緑樹はとくに弱光条件で展葉頻度が低く、正確な葉の寿命を測定するためにはより長期の調査の継続が必要なことが明らかになった。芽鱗痕の計測によりおおざっぱな寿命を推定し、比較した結果、光合成の窒素利用効率は葉の寿命と負の相関があることが明らかとなった。
|