研究課題/領域番号 |
08740642
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物形態・構造
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
田中 実 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (80202175)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 卵成熟誘起ホルモン / 20β水酸基脱水素酵素 / カルボニルリダクターゼ / 魚類 / 卵巣 |
研究概要 |
脊椎動物の多くでは卵が受精可能になるまでには、卵成長、卵成熟の過程を経なくてはならない。十分に卵黄蓄積して卵が成長すると、20β水酸基脱水素酵素活性の作用により卵ろ胞から卵成熟誘起ホルモンが分泌され、この作用により卵が成熟することが知られている。当研究室ではその卵成熟誘起ホルモンの実体を脊椎動物で初めて明らかにしたが、その産生触媒を行う酵素の実体は明らかでなかった。この実体を明らかにするために、理由は判らないがその卵成熟誘起ホルモンが多量に精巣に存在することが知られていたので、まずブタ精巣からこの酵素を精製、cDNAをクローニングした。この結果、20β水酸基脱水素酵素は生物学的意義の不明なカルボニルリダクターゼと高い相同性を示していることが明らかとなった。 今年度はこの酵素が卵で卵成熟誘起ホルモン産生酵素として働いているか否かを調べるために、卵成熟誘起ホルモンの明らかなアユの成熟卵巣からcDNAライブラリーを構築し、ブタカルボニルリダクターゼと相同生の高いcDNAを単離した。次に、この酵素を大腸菌で発現、精製し、カルボニルリダクターゼ活性と20β水酸基脱水素酵素活性とをそれぞれ分光光学的手法、再結晶法とで調べ、双方の活性が存在することを示した。また更に、最終成長期の卵巣と成熟期の卵巣からRNAを調整し、転写物量を比較したところ、成熟期には20β水酸基脱水素酵素の転写物は少なくとも1.5倍以上増加していることがノーザンブロット法で明らかとなった。以上のことは、今まで生物学的生理活性の明らかでなかったカルボニルリダクターゼが卵巣では20β水酸基脱水素酵素活性として働き、卵成熟誘起ホルモン産生に関与している可能性を強く示唆している。
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